2004年6月16日(水)20:29

議長国アイルランドはEU憲法の調停案を提示

ブリュッセル(AFP)

ブリュッセルのEU首脳会議を翌日に控えて、EU議長国アイルランドはEU憲法の争点に関する調停案を発表した。この案では、閣僚理事会の多数決決定に関して、加盟国の55パーセント以上の賛成、かつEU人口の65パーセントの賛成が必要とされている。

EU憲法会議(=EU将来像会議。訳注)の憲法草案も二重多数決制の原則を提案しているが、決定に至る数値については加盟国の50パーセントかつEU人口の60パーセントとしている。

また議長国アイルランドは調停案の中で、欧州議会の議席配分について1ヶ国最低6議席に増やすよう提案している。現行規定では加盟国中最小のマルタは5名の欧州議員しかストラスブールに送ることができない。さらにアイルランドは加盟25ヶ国の首脳に対して、欧州委員会の委員数を18名に制限するよう勧告している。従来は各国が規模に応じて1名ないし2名の欧州委員をブリュッセルに送っていた。

アイルランドはまた、ドイツの中心的要求を受け入れ、ユーロ諸国の財政赤字を罰するという欧州委員会の権限に制限を加えるよう提案している。欧州委員会は現在は拘束的な「提案」を行うことが認められているが、この議長案によれば欧州委員会の権限は「勧告」どまりとなる。またこの勧告はEU財務相理事会において加盟国の単純多数で阻止することができ、一般に公開されることはない。

アイルランドの議長案では、ユーロ圏への新規加盟の承認には、ユーロ加盟国の人口の5分の3の承認が必要とされている。

さらにアイルランドは神に言及しないEU憲法条文を提案している。カトリックの支配的な7ヶ国(マルタ、チェコ、イタリア、リトアニア、ポーランド、ポルトガル、スロヴァキア)は、これまで欧州憲法でキリスト教に言及するよう求めていた。

二日間の日程で木曜日に開かれるEU首脳会議は、EU憲法の未解決の問題以外にも、次期欧州委員長の人選もはかることになっている。有力な候補者と目されるルクセンブルクのジャンクロード・ユンカー首相は、水曜日の晩、欧州委員長職を引き受ける意思のないことをあらためて表明した。

原題:Irland unterbreitet Vorschlaege fuer EU-Verfassung




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